記憶には、覚えていられる時間が異なる短期記憶と長期記憶があります。さらに長期記憶には、言葉で説明できる陳述記憶とできない非陳述記憶があります。
陳述記憶の座は海馬で、記憶に特化した機能を持っています。古い記憶についてはあまり関係していませんが、陳述記憶の固定化に重要な役割を果たしています。
脳の中には、ニューロンという細胞があります。これは2種類の突起を持ち、お互いにシナプスという接点でつながってネットワークを形成しています。ニューロンには経験や環境によって変化する柔軟性があり、それをシナプス可塑性といいます。
ニューロンネットワークは活動依存的な可塑性を持っていますが、では海馬のニューロンネットワークはどうなっているのでしょうか。海馬の中には3つのシナプスがあり、その3つで情報を回しています。先生の研究によると、その中の1つであるLTP(シナプス伝達効率の長期増強)が、記憶の形成過程と密接な関係があることが判明しています。

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児島 伸彦教授生命科学部 生命科学科 分子神経生物学研究室

  • 専門:脳内シナプスの発生と可塑性を司る分子の研究

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