公文書とは、公務員が自分の仕事をするために、作成・取得する文書のことです。国民が公務員などの仕事をチェックしたり過去の事実・歴史・文化・伝統を継承したりするために利用することもできます。公文書は法律の下で管理されるのが当たり前なのですが、それができていないために紛失や誤廃棄といった問題が発生します。2007年に発覚した年金記録問題は、公文書管理の典型的な失敗例です。
正しい公文書管理とは、作るべき文書を作ること、取得すべき文書を取得すること、誰もがすぐに探せるようにしておくこと、保存期間が満了したら廃棄すべきものは廃棄し、残すべきものは残すこと、誰もが利用できるようにしておくことです。そして、これらを文書の持ち主である国民の同意のもとで管理する必要があります。
現在の公文書管理法では、基本的に、国の行政機関・独立行政法人等、国立公文書館などの文書しか規定されていません。保存期間が法律で定められていない、地方公共団体の文書管理は住民の同意がないものが多いなど、公文書管理には課題もあります。自分の暮らす地方公共団体の文書がどのように管理されているのか、調べてみましょう。
早川 和宏教授法学部 法律学科
- 専門:公文書管理、情報公開、個人情報保護
- ※掲載内容は、取材当時のものです