スヌーズレンとは、1970年代にオランダの重度障害の施設で働く2人の指導員が開発した、多重感覚環境のことです。当時、重度知的障がい者たちが、一日中ベッドで横たわっているような刺激のない環境に置かれていることに疑問を持った彼らが、日常生活の質を高め、入所者に楽しんでもらおうと考えたのが始まりです。初めは、小屋の中の迷路のような空間にさまざまなアクティビティをつくり、障がい者と保護者が共に活動できるものが考案されました。現在では、LEDなどを使って五感を刺激するような、特別にデザインされた環境の中で幸福感を得る空間が作られています。こうした多重感覚の刺激は、リラクゼーション状態に導く穏やかで柔らかい刺激であることが大切です。発達障がい児の施設などでは、帰宅前の精神鎮静に使われ、海外の特別養護老人ホームなどでは、認知症セラピーの1つとして導入されています。日本でも、これからますます発展していくだろうと言われていますが、現在のスヌーズレンの器材は輸入品ばかりで高額であることが問題です。こうしたなか、研究室では、企業と共同で産学連携による、日本独自の国産バブルチューブの開発に取り組み、研究を進めています。実際に学生が卒業研究で制作したものを施設に置かせていただいた事例もあります。みなさんのアイデアも商品になるかもしれません。ぜひ、いろいろな癒しの器材の開発をしていただきたいと思います。

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嶺 也守寛教授福祉社会デザイン学部 人間環境デザイン学科

  • 専門:生活支援デザイン、福祉工学
  • 掲載内容は、取材当時のものです